Excel VBAを使って業務を効率化する現場では、すでに誰かが作ったマクロを引き継ぐことがよくあります。
しかし、初めて開くそのコードを見て「どこから手をつけていいか分からない」と感じる方も多いのではないでしょうか。
今回は、他人の作ったマクロをスムーズに読み解き、安心して修正・改良していくための“心得”をお伝えします。
まずは全体像をざっくり把握する
マクロを引き継いだら、いきなり中身を細かく読む前に、まずは全体の構成を俯瞰的に見ることが大切です。
やること
- モジュールの数や名前を確認する
- 各プロシージャのタイトル(Sub名)を一覧で見る
- ユーザーフォームやボタンとの連携があるか調べる
Sub 売上集計()
' 顧客データを集計
' 日付ごとに分類
' 結果をシートに出力
End Sub
このように、処理の流れがざっくりわかるコメントがあればラッキーです。なければ、自分で「コメントをつけながら読み進める」ようにしましょう。
修正は“影響範囲”を見極めてから
他人のコードを修正する場合、気をつけたいのが予期せぬ影響です。
とくに Cells や Worksheets などの直接操作系が多いマクロでは、どのシート・セルに対して動作しているのかを明確にすることが大切です。
よくあるパターン
Worksheets(1).Cells(i, 1).Value = "完了"
このような記述は、シート構成が変わると誤動作の原因になります。シート名で指定し直すなどの修正をする前に、
- 他でも同じプロシージャが使われていないか?
- 同じ変数が他でも使われていないか?
を確認しましょう。
実装するメリット
- 不具合のリスクを減らせる
- コードの信頼性が上がる
- 自分自身が安心して修正できる
自分の理解と言葉で“翻訳”していく
複雑なマクロであるほど、”読み解く力”と”書き直す力”が求められます。
まずは、一つ一つの処理を自分の言葉で「何をしているか」を説明できるようにします。
コメントベースで整理してみる
Sub CheckData()
Dim i As Long
' A列のデータを上から順に見る
For i = 2 To Cells(Rows.Count, 1).End(xlUp).Row
' 「NG」という文字が入っていたら行全体を赤くする
If Cells(i, 1).Value = "NG" Then
Rows(i).Interior.Color = RGB(255, 0, 0)
End If
Next i
End Sub
このように、自分の言葉でコメントを書き足していくと、“読みながら学ぶ”というスタイルが自然に身につきます。
まとめ:他人のマクロは“翻訳と改善”がカギ
他人が作ったマクロを引き継ぐとき、コードの複雑さや書き方のクセに戸惑うこともあります。
ですが、次の3つを意識すれば、着実に理解と対応が進みます。
- まず全体像を把握して流れをつかむ
- 修正は影響範囲を確認して慎重に
- コメントで言語化しながら読み解く
マクロは読み解く力と、少しの翻訳力があれば怖くありません。
引き継ぎをチャンスと捉え、VBAの理解をさらに深めていきましょう。
