なぜマクロの記録だけでは実務で使えないのか?

マクロの記録を使ってみた。ボタンを押したら動いた。
でも次の日、データが増えたら動かなくなった。

そんな経験はありませんか?

マクロの記録だけでは実務で使えない理由は、記録される内容が「そのときの操作」に固定されているからです。データが変わっても柔軟に動く仕組みを、マクロの記録は作れません。

この記事では、次のことを解説します。

  • マクロの記録が実務で使えなくなる根本的な理由
  • 記録されたコードの何が問題なのか
  • マクロの記録を「正しく使う」考え方

なぜマクロの記録だけでは実務で使えないのか——3つの理由

① 記録されるのは「そのときの場所」——データが変わると動かなくなる

マクロの記録を実行すると、コードの中にこういった記述が並びます。

Range("A1").Select

Range("A1:D10").Select

これは「A1セルを選択する」「A1からD10を選択する」という意味です。記録した瞬間の「場所」がそのままコードになっています。

ここに問題があります。翌日データが20行増えたら、「A1からD30の範囲」になるので、マクロのコード上では「A1:D30」に変わります。

でもコードは「A1:D10」のままです。データが変わるたびに、コードも手で書き直さなければいけません。

実務のデータは毎日変わります。

固定された範囲を記録しているだけでは、実務で使えるマクロにはなりません。

② 記録されるのは「操作の結果」——条件によって動きを変えられない

マクロの記録は「やったことを記録する」仕組みです。そのため、「もしAならこうする、もしBならこうする」という条件分岐を記録することができません。

たとえば「売上が目標を超えていたらセルを青くする、超えていなければ赤くする」という処理は、記録では作れません。記録できるのは「青くした」か「赤くした」かのどちらか一方だけです。

実務の自動化には、条件によって動きを変える処理が必ずといっていいほど出てきます。マクロの記録だけでは、その壁を超えられません。

③ 記録されるのは「余計な操作まで」——コードが無駄に複雑になる

記録中に少し迷ってクリックしたり、余計なセルを選択してしまうと、その操作もすべてコードに残ります。

結果として、本来10行で書けるはずの処理が50行になることも珍しくありません。コードが長くなると読みにくくなり、どこを修正すればいいかが分からなくなります。

「なぜこのコードがあるのか分からない」という状態が、マクロの記録が引き起こす一番の問題です。

じゃあ、マクロの記録はどう使えばいいのか

「書き方を調べる道具」として使う

マクロの記録は「使えない」のではありません。使い方が違います。

正しい使い方は、「書き方を調べる道具」として使うことです。たとえば「セルの色を変えるにはどう書けばいいか」を調べたいとき、実際に色を変える操作を記録してコードを確認する。そのコードを参考に、自分で書き直す。

記録したコードをそのまま使うのではなく、「なぜこう書かれているのか」を読み解いて、自分のコードに活かすことが大切です。

記録したコードを「一行ずつ読んでみる」

記録が終わったら、生成されたコードをVBEエディタで開いて一行ずつ読んでみてください。

最初は意味が分からなくて当然です。でも「この行は何をしているんだろう」と調べながら読み進めることで、VBAの書き方が少しずつ分かってきます。

マクロの記録で生成されたコードは、いわば「VBAが自動で書いたお手本」です。そのお手本を読み解くことが、実務で使えるコードを書く第一歩になります。

ただ、先ほども書いた通り、余計なコードが書かれているため、まずは流れを知り、シンプルな書き方については、後から学んでいきましょう。

まとめ

マクロの記録が実務で使えなくなる理由は、記録が「そのときの操作」に固定されているからです。

  • データが変わると動かなくなる——固定された範囲で記録されるから
  • 条件によって動きを変えられない——記録できるのは操作の結果だけだから
  • 余計なコードが混じる——記録中のすべての操作が残るから

ただし、マクロの記録はVBAの入口として有効です。「書き方を調べる道具」として使い、記録されたコードを読み解くことで、実務で使えるコードを書く力につながります。記録はゴールではなく、スタート地点です。

よくある質問

Q. マクロの記録は使わない方がいいですか?

そんなことはありません。「書き方を調べる道具」として使うなら、マクロの記録はとても有効です。記録したコードをそのまま使い続けるのではなく、「なぜこう書かれているか」を読み解く練習に使ってください。

Q. 記録されたコードのどこを見ればいいですか?

VBEエディタ(Alt+F11で開けます)のモジュール(module)に記録されています。一行ずつ読んで、「この行は何をしているのか」を確認してみてください。最初は意味が分からなくて当然です。調べながら読むことが力になります。

Q. データの行数が毎回変わる場合、どうすればいいですか?

最終行を自動で取得するコードを使います。Cells(Rows.Count, 1).End(xlUp).Rowという記述で、A列の最終行番号を取得できます。これを使うことで、データが増えても自動で対応できるコードになります。

A列以外の場合には、1の部分を2にすればB列、3にすればC列のように何列目かを変えてあげれば大丈夫です。

Q. 条件分岐はどうやって書きますか?

If文を使います。「もしAならこうする、そうでなければこうする」という処理をVBAで表現するための基本構文です。マクロの記録では作れない処理ですが、If文を覚えることで実務の自動化の幅が大きく広がります。

Q. VBAはどこから学び始めればいいですか?

マクロの記録から入るのは良い出発点です。記録して、コードを読んで、少しずつ書き直してみる。その繰り返しが、VBAの基礎を作ります。「なぜこう書くのか」を意識しながら進めることが、実務で使えるレベルへの最短ルートです。

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