【Excelマクロ】シートを指定する必要性

シートを指定する必要性

実務上、VBAでマクロを作るときに、シートの指定をせずに作成することが多くあります。

たとえば、次のようなコードです。

Range("A1").Value = "売上"

とてもシンプルで簡単なコードで、A1セルに「売上」と入力するだけの処理です。

ただし、このような処理をする場合、必ず考えておかなければいけないことがあります。それは、このコードが動作するのは、“今アクティブになっているシート”に対してのみということを理解しているか？ということです。

つまり、実行したときに選ばれていたシートが「Sheet1」ならSheet1のA1に入力されますが、「Sheet2」が選ばれていたら、Sheet2のA1に書き込まれてしまいます。

これがシートを指定しないことの落とし穴になることがあります。

マクロを使う目的は、Excelの操作を「自動化」することです。そのため、どんなタイミングで実行しても、毎回同じ動作になることが求められます。

ところが、アクティブシートに依存したコードは、状況によって動作が変わってしまいます。

たとえば、マクロを実行する前にSheet2を開いていた場合と、Sheet1を開いていた場合とで、結果が違ってしまうのです。

これでは自動化とはいえません。「いつ、どこで実行しても、正しいシートに処理がされる」ようにするには、ワークシートを明示しておくことがとても重要です。

もちろん、その認識をした上で、コードをシンプルにするために省略するのであれば、私自身は問題ないと思っていますが、必ずその点を意識しながらコードを書くようにしましょう。

今回はシートの指定方法についてお伝えしたいので、シートを指定すべき、という視点で記載していきます。

処理対象のシートを明確にするには、次のように書きます。

Worksheets("売上表").Range("A1").Value = "売上"

このように書けば、「売上表」という名前のシートのA1セルに、確実に「売上」と入力されます。
たとえ他のシートが表示されていても、関係ありません。

もし複数のシートを操作する場合でも、それぞれを明示しておけば、処理ミスを防ぐことができます。

「シート名を毎回書くのは面倒」と感じる方もいるかもしれません。その場合は、シートを変数に代入して使う方法もおすすめです。

変数に代入するには、Set構文を使って、「Set 変数 = シート」と指定して利用します。

Dim ws As Worksheet
Set ws = Worksheets("売上表")
ws.Range("A1").Value = "売上"

このようにしておけば、何度もシート名を書く必要がなく、コードもすっきりします。複雑な処理を組むときや、複数のセルに何度もアクセスする場合には、特に効果的です。

実務では、「Aシートからデータをコピーして、Bシートに貼り付ける」といった作業を自動化したいケースが多くあります。このとき、シートの指定を省略していると、貼り付け先が意図と違う場所になってしまったり、エラーで止まったりする原因になります。

特に、他の人と共有するマクロや、定期的に実行する処理では、動作が安定していることが非常に重要です。

そのためにも、「ワークシートは必ず指定する」というクセを、最初のうちから身につけておくことが大切です。

ちなみに、似たようなキーワードとして ActiveSheet や ThisWorkbook などもあります。

これらの違いを知っておくと、より正確にシートやブックを操作できるようになります。

マクロが意図したとおりに動かない原因の多くは、「シートやセルの指定があいまいであること」にあります。

習い始めのうちに「ワークシートは必ず明示する」という習慣をつけておくと、後々トラブルを大きく減らすことができます。

マクロを書くときには、

Worksheets("○○").Range("A1")

このような「どこに対して処理をしているのか？」を明確に書くクセを、ぜひ意識してみてください。